宮部みゆき「火車」を読む

 

 ゴールデンウイークが始まりました。私自身はとりあえず出かける予定もないのでいつもと変りない日々なのですが、先日電車の移動時間を利用して宮部みゆきの「火車」を読みました。ドラマ化もされてますし、とかく評価も高い本ですのでご存じの方も多いのでしょうね。

 

 親戚の婚約者が突然行方をくらました―――、こんなことからお話は、ある意味回りくどく展開していきます。その過程で、昭和50年代後半のカード社会、サラ金全盛時代の闇をこれでもかと見せつけられるのですが、当時小学生だった私も借金取りに追われて「夜逃げ」をするようなテレビドキュメントが放映されているのをよくみていたような気がします。

 

 それでも所詮はテレビの話、現実は…と思いきや、クラスメイトが突然学校に来なくなりました。担任の先生から報告があり、親の借金のことで一家で夜逃げされたのだ、ということでした。身近で、まさかこんな事件が起きるとは…と驚きましたが、さらに先生から、その失踪した彼の机から学級参観の案内が出てきた、さすがに親に渡せなかったのだろう、との話をうかがい、切なくなったことを覚えています。

 

 Yくんはその後、どうしているのだろうか…。本書には同級生の行方を追う自動車屋の男性が登場しますが、普通はそこまで付き合いきれるものではありませんし、私もその他大勢の一人です。

 ただ、本書を読んで、もう40年ほど前の出来事を思いがけなく回想してしまったほどの良書であることははっきりと言えます。少々ページ数も多めではありますが、ゴールデンウイークにお勧めの一冊です。

 

 

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