当事務所では土地家屋調査士業務や行政書士業務に加えまして、古地図について鑑定・研究も行っております とは言いましても古地図そのものの取引価値(経済価値)を鑑定するのではなく、いつ・誰が・どうやって・何のために作成した地図なのかを判断させていただくことがベースです
実際には一般的に「地籍図」といわれる徴税のための一筆一筆を描いた古地図を専門としていますが、近世江戸時代の村絵図や近代明治以降のの測量図に至るまで幅広くご対応させていただきます。
なお、ご相談に際しましては実際に現物を拝見させていただくことがベストですが、ご遠方の方やお時間の調整つかない場合はメール等で画像を送っていただいても結構です。
是非お気軽にご連絡を頂けましたら幸いです。
上記は当事務所の所在地に、地元自治会に伝わる「地籍図(壬申地券地引絵図)」を重ねたものです
「地籍」「地籍図」といわれてピン、と来られる方は少ないと思います。簡単に言えば税金をとるために、時の政府(お上)が作成した土地の台帳と、その地図ということになります。わが国においては明治初期に地租改正に伴って作成されたものとなります。
では、法務局に備え付けられている「公図」は?江戸時代の村絵図は?という疑問もわいてきますね
このページでは私が個人的に研究している地籍図について土地家屋調査士業務とのかかわりを書いていきたいと思います。なお、時間を見てぼつぼつ書き足していきたいと思っております。
また本サイトのブログにても随時ご報告をさせていただきますのでそちらも是非ご参照ください。
おおよそ、主な地籍図の種類は以下の4つとなります
①壬申地券地引絵図
②地租改正地引絵図
③地籍編製地籍地図
④地押調査更正地図
地籍図の種類を単純に挙げるとこうなりますが、明治初期はそもそも行政も今と違って未整備であり、中央の命令はなかなか思い通りに徹底されていません。使用している測量器や棹の長さも違いますし、江戸時代の村絵図そのままのような地籍図も存在します。反面、市街地ではかなり正確で、近代測量にもおとらない地図も見られます。
要するに地籍図は地域によっても、作成時期によっても様々な特徴を有しており、鑑定や資料性の判断には経験と注意を要します。
当職が編者・執筆者として参加しました
滋賀県土地家屋調査士会編著「滋賀の地籍―土地家屋調査士の視点から」
地方・小出版流通センター発行情報誌「アクセス」より
新刊ダイジェスト(2021年05月号発行分)
不動産登記に欠かせない公図や地籍図、土地の来歴を記した土地台帳。なかなか素人には容易に読み解くことのできないものです。しかし見る人が見ればそれは情報の宝庫ともなります。本書ではその道の専門家集団である滋賀県の土地家屋調査士会の手によって、滋賀県の地籍の特徴が様々な角度から解説されています。(以下略)
地方・小情報誌『アクセス』5月号web版
【滋賀の地籍】紹介文
bit.ly/328tVQe pic.twitter.com/fctlsDLJ4z
下記の分につきましてはダウンロード等はご自由にしていただいて結構ですが、転載されるなどの際にはひと声、メールででもご連絡いただけますと幸いです。
もちろん、資料提供やご意見ご感想なども大いにお待ちしています。
他に2016年10月1日 日本地理学会秋期学術大会秋季学術大会地図・絵図資料の歴史GIS研究グループにおいて「市街地における戦前の土地境界の管理――滋賀県大津市の軒下地を事例に」と題して報告を行っております。
滋賀県下では自治体による地籍図の図録集の発刊が盛んです。他県の分をすべて足しても滋賀県一県分に届くかどうか、というレベルです。すでに入手困難な図録もありますが、現在も絶賛販売中の図録も多くありますので、ご購入を希望される方はそれぞれの自治体にお問い合わせください。
他府県では
土地家屋調査士は土地家屋調査士法25条2項において、「調査士は、その業務を行う地域における土地の筆界を明らかにするための方法に関する慣習その他の調査士の業務についての知識を深めるよう努めなければならない」とされています。
慣習法的要素が濃いとされる土地境界に関する知識をそれぞれの地域で深めるようとの 規定です。その趣旨にのっとり各県において盛んに地籍図(公図)の研究が進んでいます。ただし、残念なことに各会の資料集は基本的にすべて非売品です。