日本土地家屋調査士会連合会の発行する「土地家屋調査士」2017年2月号に昨年11月の第17回地籍問題研究会定例研究会の報告として私の報告を掲載いただきました
内容も上手くおまとめいただき、かつ使用したスライドなども大きく掲載いただいきましたので、なにやら大変恐縮な感じがしないでもありません 私個人としては、この報告、いま一歩まとめきれていないなあ、という感想を持っていますが、折角ですのでこの報告で私が述べたかった最大のポイントを下記にまとめます
・江戸時代の地図は伊能図のような例外は別にして、文字情報の記載が主な目的であったこと
・記載された線や面の情報が大まかであっても、記載された文字情報を読み取ることにより図全体の意図を把握することが重要であること
また今回の報告に当たって、江戸時代の地割は明治維新を経て近代的土地所有が確立した今日にとっては意味のない情報だ、というようなご意見もいただきました しかしこうしたご意見は権利関係(土地所有)については首肯できますが、土地の境界という本来、利用権から派生した土地に関する「現象」については、前近代と近代とを峻別するいわれは全くないと考えます(戊辰戦争や西南戦争で一帯が焼け野原になり、地割を根本的にやり直した、というのなら話は別ですが…)そこは法律家や法学者の先生方の論と私の意見とは全く異なるポイントですね
この話、わかりやすく言えば司法書士(権利に関する登記)と土地家屋調査士(表示に関する登記)の違い、なのでしょう また、明治はおろか前近代までも視野に入れた業務を行う土地家屋調査士という資格の奥深さの証左ではないかとも考えますがいかがでしょうか
※第17回地籍問題研究会定例研究会での報告内容はこちらを参照願います