昨日は滋賀県土地家屋調査士会の総会後初の理事会が開催されました
そこで理事の職掌も最終的に決められたわけですが、私は新体制でも引き続き滋賀県土地家屋調査士会の研究部長と法25条2項委員会委員長を兼任させていただくことになりました 今回で三期にわたり、同じ役職を担うことになったわけですが、さすがに四度目はないでしょう、ということで、この役回りの有終の美を飾れるよう、何とかやっていきたいと思っています
ちなみに前回の研究部の体制から多くの部員さんが残っていただけるようで大変心強いと感じています さらに新メンバーも加わりますので、6月24日の第一回の合同部会は楽しみです
話は変わりますが、今日、長浜市内のとある自治会の役員さんからTELをいただきました
要件をお伺いしたところ、自治会を法人化したので、ついては自治会財産の登記を整理したい、とのことでした とりあえず、たまたま近くにおりましたので御伺いしたところ、何件かの不動産の所有権移転登記のお話でした
さすがに所有権移転登記は私の守備範囲外ですので、速やかに司法書士さんに連絡を取らさせていただいて、お話を進めることになりました
それはそれでよかったのですが、写真の表にもあるように、この地区の墓地の不動産登記簿上の表題部所有者(要は名義人)が「村中」とあります 実は私の住んでいる地区の墓地も「村中」、たしか隣の地区も「村中」の所有となっていました 「村中」さんは沢山墓地を所有していますね 私のイメージも墓地といえば完全に「村中」さんです
しかし、「村中」といっても、「村中さん」(人間)ではありません
いうなれば「村全体のもの」、法律用語でいうところの「総有」状態をあらわす「村中」、ですね
こうした所有者「村中」の事例は滋賀県湖北地域では多いのですが、他の地域ではどうなのでしょうか?
ネットで検索しても長浜や彦根の事例ばかりですので、湖北地域独特なのでしょうか…
土地家屋調査士としては、隣接地所有者の調査などで登記事項を確認するくらいで、それほど所有者についてこだわるケースは多くありません なので、せいぜい「あ、また村中か ということは墓地だな」と思う程度でした しかし所有権移転を担当する司法書士さんとのお話の中で、これはかなり滋賀県湖北地域独特の登記なのでは…と思いました
しかも今回の地区は他の不動産も何筆か所有されているのですが、そちらは「大字〇〇(町名)」です
「村中」と「大字〇〇」、なんだか、どうせなら統一しておいてほしいという感じですね
「村中」と「大字〇〇」、何が違うのかは不明ですが、登記された時期が違うのか、もしくは墓地以外は「村中」は使わないルールなのか、どうなんでしょうね
地縁団体の法人化も徐々に進んでいますが、通常は自治会館の建設に伴い、法人格を取得されるケースが多いように思われます しかし、このようなおそらくは近世由来の利用形態(慣習)を反映した名義財産と、新しい法人との整合性の調整や登記の整理も今後もボツボツあるような気がしました
ついでに長浜市の「村中」名義の財産処分に関する要綱を下記に転載します
平成18年ですから長浜市が旧浅井町、旧びわ町と合併する際に定められた要綱のようです
ここには「村中」名義の財産の保存登記をする際には所有者を長浜市とせよ、とありますが、境界の検分(要は墓地の敷地管理でしょうね)は自治会が責任を持ってください、とありますね 随分と虫のいい話のようにも見えますが…
○長浜市村中名義等財産取扱要綱
平成18年2月13日告示第17号
長浜市村中名義等財産取扱要綱
(趣旨)
第1条 長浜市内の村中名義等財産の取扱いについては、別に定めがある場合を除くほか、この要綱の定めるところによる。
(定義)
第2条 この要綱で「財産」とは、不動産登記簿の表題部に「村中」、「大字○○中」、「字○中」、「○組中」その他これらに類する表示がされている土地又は家屋をいう。
(財産の処分等の申請)
第3条 財産を所有し、かつ、管理する自治会その他地縁に基づき形成された団体(以下「自治会等」という。)の代表者は、財産の処分等(売却又は物権の設定若しくはその他の所有権を制限する行為をいう。以下同じ。)をしようとするときは、財産処分等申請書(様式第1号)を市長に提出しなければならない。
2 前項の申請書には、当該財産の処分等に関する自治会等の構成員の意思が確認できるものとして、次の各号のいずれかに該当するもの及び権利に基づき当該財産を使用している者の処分等についての同意を証する書類を添付しなければならない。
(1) 自治会等の総会議決書(様式第2号)
(2) 自治会等の総会会議録(様式第3号)
(3) 前2号に掲げるもののほか、構成員の意思が確認できる書類
3 自治会等総会の議決は、当該自治会等の構成員の3分の2以上の同意を必要とするものとする。
(処分等の決定及び契約の締結)
第4条 市長は、前条の申請を受理した場合において、その内容を審査し適当と認め、かつ、当該財産を市において公用又は公共用に供する計画がないときは、財産の処分等の手続を行うものとする。
2 前項の場合において、財産の処分等に関する契約は、市長と財産の処分等の相手方との間で締結するものとする。ただし、契約に必要な書類は、自治会等が提供しなければならない。
3 境界の検分、売却価額の決定その他財産の処分等に関して生じる一切の問題は、自治会等の責任において解決しなければならない。
(財産の処分等に関する登記手続)
第5条 市長は、前条の規定により財産の処分等をしようとするときは、当該財産について長浜市を所有者とする保存登記を行うものとする。
2 財産の処分等に関する登記は、前条の契約締結後に行うものとし、登記手続は、契約の相手方が速やかに行わなければならない。ただし、公益上市長が特に必要と認める場合は、市において登記手続を行うことができる。
3 前項の登記に必要な費用は、契約の相手方がすべて負担するものとする。
4 契約の相手方は、第2項の登記完了後速やかに、登記事項証明書を市長に提出しなければならない。
(処分金の処理)
第6条 財産の処分等で得た金銭等(以下「処分金等」という。)は、市の歳入として取り扱うものとする。
(交付金の交付)
第7条 市長は、自治会等が行う公共的事業に対して、当該財産の処分金等の額の範囲内で、交付金を交付することができる。
2 自治会等の代表者は、前項の交付金の交付を受けようとするときは、長浜市補助金等交付規則(平成18年長浜市規則第36号)第4条に基づき、申請をしなければならない。
3 市長は、前項の申請に基づき適当と認めたときは、当該自治会等に対し交付金を交付するものとする。
(責任の所在)
第8条 この要綱の規定に基づき行った行為その他これに伴う一切の責任は、自治会等が負うものとする。
(その他)
第9条 この要綱に定めるもののほか、必要な事項は、別に定める。
附 則
この要綱は、平成18年2月13日から施行する。