平成29年9月29日、30日の2日間、三重大学にて開催されました「日本地理学会2017年秋季学術大会」に参加してきましたので簡単に感想を報告します。
今回の学会に参加させていただいた動機は主に下記の二つのご報告をお聞きするためでした。
①古関大樹(京都女子大・非常勤):大阪市役所に現存する明治の地籍図
②飯沼健悟(岐阜県土地家屋調査士会):岐阜県の地籍編製事業と公図との関係
まず、①のご報告では戦災等で失われたと思われていた大阪市の地籍図についての調査報告でしたが、今日の登記業務にもつながる資料群の紹介は説得力があったと思います。
また②のご報告は岐阜県における公図の成り立ちの解説、さらに、明治前期に測量分野で活用された測量機やその伝習状況などについてのご紹介が大変興味深かったです。また、これは本来の趣旨とは違うのですが、実務家である土地家屋調査士の発表ということで、いい制度PRにもなったのではないでしょうか。
その他にも多目的地籍とLADMの比較検討についての報告や、これは地理教育の分野ですが、高等学校におけるGIS利用の現状、GISの実習用オープン教材の一般公開に向けた改良についての報告を興味深くお聞きしました。地理の専任教員が少ない中で、よりよい高等学校の地理教育をと、現場では腐心いただいているようですね。
また「地図・絵図資料の歴史GIS研究グループ」での「土地宝典」を用いた昭和初期における旧「字」域の復元の報告も、愛知県独自の地域事情も垣間見え、大変勉強になりました。今回は参加者は少なかったのですが、逆に討論の時間が多く取れて、それはそれでいい形になっていたと思います。
29日の夜に地元のK土地家屋調査士さんから「津はウナギが名物なんですよ」とのご紹介をいただきました。そこで、あくる30日に「うなぎ料理 はし家」さんで「上うなぎ丼」をいただきました。さすが、名物だけあって大変おいしゅうございました。
なお、津市内にはたくさんウナギ専門店が立地しているようですが、地理学的にその分布や経緯・変遷を取り上げると面白そうですね。浜松や三河といった産地にも近いこともあるのでしょうが、地域で消費量が伸びれば流通が効率化し価格が抑えられ、さらに消費が伸びるという、好循環があるのかもしれません。