昨日は滋賀県土地家屋調査士会境界鑑定委員会主催の「土地境界鑑定講座(基礎編)-事例から考える我々の使命-」に参加してきました。会場は滋賀県栗東市内の栗東ウイングプラザ会議室です。
講師として岐阜県土地家屋調査士会副会長の飯沼健悟先生にお越しいただきました。私ごとですが旧知の飯沼先生ということでお話を大変興味深く拝聴することができました。
先に研修会でのお話全体のキーワードをご紹介しますと「科学的かつ総合的な調査」,「土地境界に関する研究」,「筆界の特定技法」ということで、実際の土地家屋調査士業務での具体例なども挙げていただき、基礎から土地境界の“鑑定力”を培うことを目的とした講座でした。
飯沼先生のお話の中で印象的でしたのは「プロフェッションであるために」というテーマについてです。実は私は今回初めてお聞きしたわけではなかったのですが、改めて自戒もこめて講座のレジュメより引用させていただきます。
(1) プロフェッションとプロフェッショナル
ア 我々の職業は,公法上の境界を現地に復元することであり,この集約によって
社会全体の利益となっている。つまり,土地家屋調査士はプロフェッションである。
イ 自らの信ずるところにより土地所有者を理解させなくてはならず,単なるプロフェッショナル(職業・専門家)であれば役不足である。
ウ 経験則のみでは,説明に何の重みもなければ,誰一人納得させられるものではない。
エ プロフェッションとしての結論及びその過程についての説明は,学術的に整然としたものでなければならず,これが我々のあるべき姿である。プロフェッションとしての自覚はありますか?プロフェッションとして認知されていますか?
(2) プロフェッションであるために
ア 科学的に行われた土地境界に関する研究成果が必要である。
イ 学識に裏づけられた一定の基礎理論が必要である。
ウ 社会全体の利益を実現するためには集団での共通のvision が必要である。必要なものばかりですが,備わっていますか?
さらに、「土地境界に関する研究」として、日本土地家屋調査士会連合会が描いたvision「境界紛争ゼロ」を実践するためには土地境界に関する鑑定理論を確立する必要がある、と強調されました。
土地家屋調査士法第25条第2項について「潜在的に我々にあった努力義務が明文化された意義は何か?土地家屋調査士制度発足時から職責や義務として当たり前のように潜在していたにもかかわらず,これを怠ってきた我々への戒めではないか」とのお考えを示していただきました。
上記は例に挙げていただいた中部地域の旧公図の事例ですが、中部六県の土地家屋調査士会からなる「中部地籍研究会」でのご経験も元に、滋賀県土地家屋調査士会での「滋賀の地籍」の編集の意義も併せてお伝えいただきました。
他に、単に技術的に境界を判定するだけではなく、依頼人の気持ちに寄り添うことのできる境界鑑定、プロセスを大事にした業務についての解説も大変印象的でした。
飯沼先生は来週も法務省の研修会で講師をおつとめいただくようで、土地家屋調査士会の活動なども併せ大変お忙しいようです。寒い日が続きますので体調に留意され、一層のご活躍をお祈りしております。
なお、飯沼先生とは懇親会までご一緒させていただきましたが、帰りの電車がおりからの雪で遅れまして帰宅が午前様になってしましました… 北陸での雪が影響したようです。やはりこの時期は滋賀県南部は全く雪がなくても、他の地域のことまで想定して行動しないといけないですね。