8月4日は福井県文書館を会場に開催されました福井県土地家屋調査士会主催の「今も現役?明治の地図~地図に親しむ二週間~」に参加してきました。
当日は公開講座として下記のチラシにて紹介されておりますように「くずし字の読み方」「福井県の地籍絵図の特色」「土地の測り方(面積編)」「法務局による地図作成」と四本の講演が用意されており、いずれの講座も大変興味深く拝聴させていただいてきました。
公開講座の中では「土地の測り方」が特に印象的でした。ざっくり申しますと明治初期の土地測量の手法や器具(梵天や十字器など)を実際に復元され、それを実際に福井県土地家屋調査士会の会員さんが中心となって現地で測量された、その測量成果のご報告でした。
時間も労力も必要な試みだと思いますので、そのチャレンジ精神にまず感服するとともに、実際に測定された結果が許容誤差に止まらず、最新のトータルステーションで計測した実測値と随分乖離が大きかったことがよくわかりました。熟度の差こそあれ、明治当時の地籍測量に携わった方々も何度も再測され、誤差の補正もされたのだと思うと、往時の御苦労がしのばれました。
また「くずし字の読み方」は福井県土地家屋調査士会境界鑑定委員会のメンバーの皆さんが実際に翻刻された古文書を、福井県文書館の学芸員さんが一つ一つ解説されるという内容でした。一般的に誤読しやすい文字などについて丁寧にお話しいただきましたので、大変理解しやすく、土地家屋調査士への期待も述べていただきました。今後滋賀においても福井県のような、こうしたコラボが進むように私自身もう少し古文書についてのスキルを高めていきたいと思いました。
更に会場において「古地図で城めぐり」と題したコーナーが設けられていました。法務局備付けの公図を航空写真の城跡と形状を合せてみるというものでしたが、一般的に人気の高い城跡を使用して、公図について実感してもらう試みとして、一般参加の方にかなりアピールできる素晴らしい試みと思います。
今回の福井県土地家屋調査士会の企画は土地家屋調査士にとって大変重要な土地家屋調査士法25条2項(地域慣習)に関して非常に有益であるのは当然のこと、福井県庁主導の「幕末明治福井150年博」ともリンクした、土地家屋調査士制度の効果的なPRの手法としても大いに参考になるものであったと思います。福井県土地家屋調査士会さんの長年の地道な活動の賜物ですね。やはり土地家屋調査士は地道にコツコツが、業務においても、会務においても一番大切ですね。
福井県土地家屋調査士会の皆様、大変お世話になり、まことにありがとうございました!
また、同時に福井県文書館の月替展示として「土地はだれのもの?―ふくいの地租改正―」ワークショップも開催されていました。「土地の大きさをはかろう」、という企画ですが、小学生のお子さんの悩みの種?である夏休みの自由研究にも大いに活用していただけそうですね。
テーマは「地租改正」ということで、歴史・社会の勉強になるのは当然のことですが、算数を学ぶ意味も、こうした体験を通じて身に染みて伝わるのではないでしょうか。