今日は滋賀県土地家屋調査士会研究部・土地境界鑑定委員会の共同により開催されました講演会「民事紛争解決に対する土地家屋調査士の関わり方-土地家屋調査士の司法参加という視点も踏まえて-」に参加してきました。
講師をおつとめいただきましたのは京都大学大学院法学研究科教授の小久保孝雄先生でした。小久保先生は、昭和56年に大阪地裁に判事補として着任され、その後、大分・千葉等の裁判所・検事を 経て、平成5年からは地裁の判事として大阪地裁や東京地裁で勤務されました。また、 平成10年からは司法研修所教官として、平成24年からは裁判所職員総合研修所長、平 成26年からは京都地裁所長、平成28年からは高松高裁長官を務められた、まさに「法律のエキスパート」ともいうべき先生です。
小久保先生の長年にわたる裁判官としてのご経験を踏まえ、筆界確定訴訟等の不動産に関する訴訟の特色や民事訴訟手続きの流れのほか、筆界の専門家である土地家屋調査士の訴訟への関わり方、また民事調停の解説、訴訟と筆界特定、ADR(裁判外紛争手続)との関わりについてもお話しいただきました。なお、小久保先生からは法務局の筆界特手続きもADRだ、と言及がありました。言葉面からは違和感はありましたが、その意図されるところは理解できたような気はします。
又繰り返し「土地家屋調査士は素晴らしい資格だ」と述べていただきました。小久保先生がこれまで関わり合いのあった土地家屋調査士がそうした評価を受けておられるのだと思いますが、そうしたご期待に沿えるように今後とも研鑽を続けていきたいと思います。
なお、 会場は旧大津公会堂という大変趣のある、歴史的建造物でした。しかも使用料金も大変お安くてちょっとびっくりしました。大津市は戦災や自然災害にほとんどあっていないからこそ、こういう建物が今もなお現役で活用できるのでしょうね。
小久保先生からは講演の中で再三、中立の立場に立つもののあり方として「廉潔」が大切なことをを強調いただきました。土地家屋調査士として公平性、中立性を保つその当然の前提として廉潔であることを肝に銘じて業務にあたりたいと強く感じた講演会でした。
また懇親会では小久保先生の気さくなお人柄に触れることができました。裁判官・判事というと一般的には「怖い顔をした人たち」みたいな?イメージがあるかと思いますが、決してそんなことはなくて、テレビをみているだけでは真実はわからないと実感した次第です。