熊本県土地家屋調査士会より平成28年熊本地震記録誌「2016熊本地震 -それぞれの未来へ-」を滋賀会事務局経由で頂戴しました。
表紙は約2m横ずれした断層による亀裂がきれいにわかる写真です(益城町)。この一枚で地震の凶暴なまでの破壊力が想起できます。前に一度、熊本会の会員からの震災に関するご報告をお聞きしたことがありますが、土地家屋調査士としての業務的な面よりも役場の職員さんと一緒に救助活動に頑張ったお話が印象に強く残っています。高齢化社会ですから、こうした非常時には土地家屋調査士のような現場系?の人種が必要とされるケースが今後も多々あるのでしょう。発災直後は測量だ、調査だ、なんてところではないですから、まずは人命救助に全力投球し、その後には地域社会の復旧復興に携わらることが土地家屋調査士の役割であり、使命です。それを正に地でいかれた熊本の土地家屋調査士の皆さんの活躍のご様子が、この冊子からも存分にうかがえました。
熊本地震の記録誌をいただいて、わが地元の大規模災害である「姉川地震」を思い出しました。姉川地震は今からちょうど110年前、明治42年(1909年)8月14日午後3時31分に滋賀県北部の姉川流域を中心とした地域にマグニチュード6.8の巨大な地震で、湖北の各地に甚大な被害を及ぼしています。
今からまさに10年前、「姉川地震100年」ということで、啓発活動も兼ねて「湖国の地震防災を考える~100 年前の姉川地震が語るもの」というシンポジウムが行われました。
当時私は土地家屋調査士会の広報部員でしたが、滋賀県立大学や京都大学防災研究所の研究者を中心とした関西地震防災研究会や地元自治体とともに土地家屋調査士会も主に広報部が参画する形で開催したことを思い出します。
企画の詳細は↓こんな感じでしたが、懐かしいお名前も並んでいますね。
「湖国の地震防災を考える~100 年前の姉川地震が語るもの」
日時: 2009 年8 月8 日(土) 開場 12:00 開会13:00~16:00
場所:滋賀県長浜市大島町37番地 長浜文化芸術会館 大ホール
【タイムスケジュール】
13:00 開会あいさつ 曽我直弘 (滋賀県立大学学長)
第一部
13:10-13:40 「姉川地震の実像に迫る」 中村正夫 (元東京大学地震研究所)
13:40-14:30 「地震を知って震災に備える」 尾池和夫 (前京都大学総長)
第二部
14:40-15:30 「琵琶湖の湖底遺跡と過去の地震」 林 博通 (滋賀県立大学人間文化学部教授)
15:30-15:50 「姉川流域の水文地形と地震の揺れ」 松波孝治 (京都大学防災研究所 准教授)
総合司会・コーディネーター 高田豊文 (滋賀県立大学環境科学部准教授)
主催:関西地震防災研究会
共催:滋賀県立大学,京都大学防災研究所
後援:滋賀県,長浜市,湖北町,虎姫町,日本自然災害学会
協力:滋賀県土地家屋調査会
事務局 公立大学法人滋賀県立大学環境科学部 高田研究室
今年で姉川地震から110年がたち、人々の記憶からそのような災害があったことが忘れられようとしています。かつて湖国を襲った災害について知っておくことはいつかきっと来る天災の被害を最小限に食い止めるためにも大事なことですよね。
久しぶりに当時の画像なんかを見直して「もう10年経つのかあ、、」と思わず感慨に浸ってしまいましたが、こうした災害の歴史は貴重な記憶遺産でもあります。決して風化させることないように、普段から災害への備えを万全にしていきたいと思いました。