富山県高岡市の事例ですが、自治会が市の博物館に地籍図を寄贈したとのニュースを拝見しましたのでご紹介させていただきます。寄贈されたのは記事を拝見する限り、地籍図だけではないようですが、ちょうど記事の写真が地籍図(時期的にも壬申地券地引絵図かな)と思われ目に留まりました。
地域の資料を今なお自治会で所蔵しておられるケースは非常に多いのですが、自治会では扱い方がよくわからずに紛失されてしまうようなこともままあるようです。
高岡市立博物館のツイッターでも「何か古い書類などが出て参りましたら、ぜひ当館にご一報ください(^-^)」とPRされていましたが、大切なことかと思います。
以下、2020年6月3日中日新聞富山版より
高岡市の戸出光明寺(こうみょうじ)自治会は二日、明治時代の光明寺村の地引(じびき)絵図や戦時中の配給を記録した日誌、国民義勇隊勤労表など貴重な資料約百点を市博物館に寄贈した。
資料は、村の歴史として歴代の自治会長に代々受け継がれてきた。数年前に元自治会長宅の古い蔵を解体した際に見つかり、光明寺自治公民館が保管してきた。元自治会長の沢田昭典さん(68)=市是戸公民館主事=と、自治会長の野原由雄さん(68)が段ボール二箱分を博物館に持ち込んだ。
地引絵図は「新川県管下第20大区小4区越中国砺波郡光明寺村」(一八七五年)で、七三(明治六)年の地租改正以降に全国で作られた地籍図。光明寺の田畑の地番や面積、所有者が詳細に地図に表記されている。地図を作製する基として作られた野帳や時価取調帳など一式がそろっている。
記録日誌には肥料や食べ物、衣類など配給の種類や数が備忘録として記載されている。国民義勇隊勤労表(光明寺小隊)は勤労動員の状況が見て取れる。
沢田さんは「博物館で保存してもらうのが一番ありがたい。後世に残し、有効活用してほしい」と話した。博物館の仁ケ竹(にがたけ)亮介副主幹学芸員(45)は「地引絵図には江戸時代以来の字名も記され、古い田畑の情報が分かる。配給の日誌は戦時中の生活がうかがえて貴重。古文書は失われるので、眠っている資料があれば博物館に相談してほしい」と話す。