最近、長浜市内のとあるお寺の「庫裡」を取り壊したことによる建物表題部変更登記のご依頼をいただきました。そこで現地を確認しに行きますと、明らかに建物の要件を欠く「門」が附属建物として登記がされていることがわかりました。事前に依頼人よりお借りしていた配置図的なものによると、同じ個所に確かに門の記載がありましたので、間違いなくこの登記された門が現存していました。
門と言っても、長屋門のような外気分断性・人貨滞留性を有するようなものではなく、あくまで普通の?門で、しかも床面積も(測りようもないとはいえ)随分違いましたから、おそらく床面積は計算を間違えて登録されたのだろうな―、と考えられますが、かといって床面積の更正も相応しくないといえます。とすると現存している構造物ではありますが、「取毀」または「不存在」として抹消するのが妥当と判断しました。結局、登記官に事前に「年月日不詳取毀」という原因日付で滅失処理することが可能かを確認し、OKをいただきましたのでその通り申請し、無事登記完了となりました。
小さい構造物の仲間としては「便所」はともかく、「門」が登記されているケースは記憶の限りではそれ程ありません。これは家屋台帳法時代の名残なのか、と思い手元にある「家屋台帳法解説」も確認しましたが、宗教法人の所有する家屋は価格を記載しない、といった解説があるくらいで、詳細はよくわかりませんでした。ただ住宅や店舗と違って価格を記載しないが宗教法人の所有ゆえに門が登録されてしまったのかも、と推測する次第です。
こんなこと、今さらどうでもいいことかもしれませんが、土地家屋調査士の業務をしていると時折、古い時代の建物の「種類」にはびっくりさせられることがありますね。