今日は午後から事前に参加申し込みをしておいた地籍問題研究会第34回定例研究会にオンライン参加をさせていただきました。今回の全体のテーマは『DX時代の地図編製』、先日は登記所備付けXMLデータの公開が始まるなど今注目の分野と言っていいでしょうね。
研究会の個別の報告は以下の通りでした。
■ 報告1 土地・地理空間分野におけるデジタル庁の取組
一栁泰基氏(デジタル庁デジタル社会共通機能グループ参事官補佐)
■ 報告2 地籍調査の変遷と地図の精度
川口保氏((一社)日本国土調査測量協会技術部長)
■ 報告3 作成時期が異なる地籍図の接合性
佐藤修氏(国土交通省認定地籍アドバイザー、株式会社十日町測量取締役企画部長)
■ 報告4 eMAFF地図の農地情報紐づけ実施業務について
向江拓郎氏(農林水産省大臣官房デジタル戦略グループ課長補佐(地理情報共通管理システム担当))
■ 報告5 GISと地図の接合性
西脇周平氏(国土情報開発株式会社企画管理部MTU課係長)
山口琢也氏(国土情報開発株式会社企画管理部MTU課課長)
個人的には特に報告1、報告4について興味深くお聞きいたしました。
まず報告1の中で「ベース・レジストリ」について説明がありました。今回はその中でも「土地・地図分野」における課題として「台帳同士の紐付け」について、地番と個人情報、地番と住居表示、地番と所在等々の問題を挙げられました。
いわゆる「アドレス・ベース・レジストリ」の整備、我が国においてはなかなか一筋縄ではいかないとも思うのですが、これまでは省庁間の壁が阻んできた部分も大きいと思います。しかし、ここは折角あらたに「デジタル庁」を設置したわけで、長年の陋習を突破していただけるよう期待したいところです。
報告4は農水省の担当者様からの報告でした。実は登記所備付けXMLデータの公開の動機として農業分野からのリクエストの要素が大きいと感じるのですが、農業分野も台帳と地図がこれまでのアナログの世界では相互活用が進んでいなかったようですが、デジタル化によって改善(農地情報の紐づけ)が進んでいるようです。
また、任意座標系の登記所備付けデータ(要は地図に準ずる図面)の活用に当たって、基礎自治体で作成されている地番図をベースに使い、重ねることによってかなり使える情報になるとの報告がありました。最近は地番図を公開している自治体も増えてきましたから(たまたまですが私が主に仕事をしている長浜市、米原市、彦根市は公開されてます)、任意座標系の図面を生かす手法の一つであると思いました。
今回の研究会、世間ですすむDX化の土地・地図分野での具体的な活用法をご提示いただくとともに、近未来の不動産管理の方向性を感じさせる研究会だったと思います。